FBCC top page

遺伝 − ボーダーコリーの理解のために U −

本ページはUSBCC Newsletterの記事を翻訳したものです.
元記事は All About Border Collies サイトに掲載されています.

遺伝の基本

私たちは高校の生物で遺伝の基礎を習いましたが、日常生活でこの知識を活かす機会が無いため、ほとんど忘れてしまっています。もし覚えていれば,メンデルの業績と犬のブリーディングとの関連は、あらためて確かめるまでもないでしょう。USBCCはボーダーコリーのAKC登録に反対の立場を採っていますが、その遺伝学的根拠を理解していただくために、少しだけ高校の生物学の授業に戻ってみることにしましょう。

最初に、世代を継いで受け渡される情報を遺伝(heredity)と呼びますが、この情報はメンデルが 「遺伝子(genes)」 と名付けた個々の組織単位の中に含まれています。 遺伝子は、「染色体(chromosome)」 と呼ばれる微小な組織として(まるで糸に連なったビーズ球のように)構成されます。染色体の中で、遺伝子はある一定の順序で配置されています。すなわち、それぞれが固有の「住所」(遺伝子座と呼ばれます)を、特定の染色体上に持っているわけです。染色体は、1つを母から、もう1つを父から受け継いだものです。

それぞれの遺伝子ペアは、同じ住所にある同じ種類のものですが、違う形態(対立遺伝子と呼びます)をとる場合もあります。遺伝子の総数は、10万個近くと言われています。

その中で我々にとって意味を持つのは、性質の特定が可能な対立遺伝子だけです。言い換えれば、コートの黒色を決定する「E」遺伝子を特定できるのは、その対立遺伝子である「e」が両方の染色体上に存在するときにレッドを引き出す、という現象があるからです。 犬を形成する遺伝子のほとんどがまだ確認されておらず、私たちは数ダースでやりくりしています。

Go to Top

組換えと結合

BCにおける行動特性は

これら全ては、別の源から来ています。A セター/ポインター B スパニエル CDは不明ですが、おそらくシープドッグの始祖でしょう。E・Fは グレイハウンド/ウィペット です。この犬たちがどう融合して、近代シープドッグになったのでしょう?

卵子・精子の製造過程において、染色体は掻き混ざり、対のうちひとつが生殖細胞に伝えられます。1つの集合体として伝わる過程に、優先順位はありません。さらに、これら染色体の遺伝的データはこのプロセスの間に対間で交換されるのが通常ですので、最終的に確定された組み合わせには「母犬独特の染色体」といったものは存在しません。すべての染色体が伝える遺伝子は、母犬・父犬両方から由来しています。これが Recombination(組替え)と呼ばれる重要な過程です。

染色体上に並ぶ遺伝子が近いほど、次の子孫に伝わる際に一緒に残る可能性が高くなります。実際のところ、広範囲での繁殖テストが可能な有機体(フルーツ蝿・マウス 他)においては次の世代に一緒に残って伝わる2つの遺伝子に現われる対立遺伝子の頻度を調査することにより、染色体の「地図を描く」ことも可能です。

極端なケースでは、この「結合」が隣り合わせの分子であれば、1万回繰り返しても一定の分離しか起きないこともあります。しかしながら、これまでに判っている遺伝子においては、2つの場所が極端に近いケースは稀です。

この「組替え」と「結合」が意味することは何でしょう?

1つには、BCの本能を形成するために取り入れた、これらの様々な特色を伝える遺伝子たちが近い場所で結合していたなら、引き出して1つの犬種に集めるのは不可能だったでしょう。例をあげると、スパニエルの特色である[クラウチ/アイ無し]、セターの[クラウチ無し/アイ]もし[クラウチ]と[アイ]を伝える遺伝子が近い場所で結合していたなら、これらのオリジナル特色の対立遺伝子ペアは未だに結合したままだったでしょう。しかし、クラウチをするがアイの無い個体、アイは強いがクラウチしない個体が現在存在する意味は?

もしこの対立遺伝子の「組替え」に成功しなかったら、この犬の至宝である[クラウチとアイ]という特性に到達できなかったのです。スパニエル・セター間の交配で生まれた子犬たちは、続いて昔のシープドッグと交配され、このような交配が続いた数世代の犬たちは、[クラウチ/アイ][クラウチ/アイ無し][クラウチ無し/アイ][クラウチ無し/アイ無し]のすべての特色を包括していたでしょう。

ここからアイとクラウチを持ち合わせた個体が、BCの始祖として「選択」されました。ただし、これら遺伝子間の「組替え」が完璧に近いほどランダムだったため、新たな組み合せが容易だったのでしょう。

逆に言えば、選択繁殖による注意深い努力を続けなければ、我々が欲するこの「組み合せ」は将来の世代においていとも簡単に分断されてしまいます。

Go to Top

組み合わせの固定

ある遺伝子座における対立遺伝子の組み合わせが、その犬種における全ての個体に完璧に定着したとき、遺伝子の組み合わせが「固定した」と表現します。たとえば、黒色遺伝子が「固定された」ベルジアン・シープドッグにおいては、現存する全ての犬に’E'遺伝子の他の対立遺伝子は存在しません。この種の単遺伝子は「固定」しやすく、 違うコート色の子犬を産んだ個体を繁殖から外すというシンプルな方法でできます。ISDSはこの選択メソッドを用い、英BCにPRA遺伝子のノーマル対立遺伝子の固定が進みつつあります。

一般的に、BCには「固定された」遺伝子の組み合わせは存在しません。外観を見ても明白でしょう。ハーディング能力における価値ある特色すら、ほぼ全てが包括的なのです。アイパワーが弱い個体もいれば、強すぎてフリーズ(獲物をみつけたポインターのように)するためストックを動かせない個体もおり、バランス感覚の欠如、もしくは硬直するために家畜を動かすバランスポイントに移動・到達できない個体もいます。パワーが弱ければ、ソフトな家畜すらも動かせませんし、強すぎればその犬がフィールドに立つだけで羊が逃げ回るでしょう。

これら全ては、組み合わせが不確定であったためで、遺伝的に固定するのが最も難しい部類の組み合せです。これだけの世代を最上の繁殖を続けていても、ワーキングBCには未だに完璧な使役犬・中庸・働けない犬 が出現するのです。

対立遺伝子は、優性とも劣性とも限らず、よって2つの対立遺伝子が異なる組み合せ(ヘテロ接合体)は、2つのホモ接合体の中間にあります。ハーディング行動で最も望まれる遺伝子の組み合わせの幾つかは、ヘテロ結合体ペアであることが多そうで、常に各々のホモ結合体を生みだすため、犬種に「固定」するのは永遠に不可能なのです。

これらの特色を最適な形での「固定」は不可能なため、そして対立遺伝子と、対立遺伝子の組み合わせによって中庸犬や働けない犬が生まれる可能性が常にあるため、ベストの組み合せを失う可能性も我々の手にかかっています。ソフトな羊から雄牛まで、トライアルから農場仕事、アリゾナからスコットランド、タフなハンドラーからソフトなハンドラーまで、全てをカヴァーする完璧なワーキングBCを生みだせる寸分違わないコンビネーションが固定すれば、我々が頭を悩ます必要はなくなるのです。ショーの’コンフォーメーション’のために選択繁殖されたところで、その犬たちも使役BCであり続けるのですから。

Go to Top

遺伝的特色の複合体

レッドの個体は、チェストナット馬のように、劣性遺伝子ペアの現れです。犬の場合は優性(黒)が’E'、劣性(レッド)が’e’と呼ばれ、黒い犬はEE か Ee レッドは必ずeeです。両親ともEe から生まれる子犬は、両方から’e’を受け継いだ結果レッドが出る可能性があります。この組み合わせから出るレッドは、統計的に4匹に1匹の割合です。両親ともEEであればレッドの子犬は出ませんし、ee であるレッドの両親から黒の子犬は出ません。

多くの遺伝子のエンド・プロダクトは、一種の生化学的物質で、レッドにおけるそれは(ユーメラニン)という色素です。これはメラニン色素の集合体のひとつであり、動物の皮膚や毛色や羽に出現し、褐色や黒色の源になります。すべてのBCのコートには、(phaeomelanin)というメラニンの一種が存在し、黒色部分はレッドの表面をブラック・ユーメラニンが覆っています。太陽下で長時間過ごした黒犬を明るい光の下で見ると、コートに微かなレッドが見とめられるでしょう。ユーメラニンが日光で漂白されたからで、下のレッドが僅かに表に出たのです。

色を決める遺伝子が優性の場合だけユーメラニンが生成され、劣性コピーを2つ持つ犬はユーメラニンを持ちません。おそらくこの場合のコート色はレッドの色素のみで、黒が出現しない替わりにレッドになります。これは、黒BCに出現するホワイト・マーキングと同じバラエティを持つ意味で、共通する場所に出現する明るいブラウンのマーキングを持つトライ・カラーになる可能性があり、ブルーマールの替わりにレッドマールが出現するかもしれません。黒犬のパッドや鼻が黒いように、この場合のパッドや鼻の色は茶褐色になります。

しかし、なぜバリエーションが突然出現したのでしょう?考えられる理由は、レッドの遺伝子を持つ個体が好まれて繁殖されたラインに存在するからでしょう。最初のレッドBCは、有名なDickson's Hemp (153)の祖母であるWylieというメスでした。この劣性遺伝子は幾世代を経てDickson's Hemp (153)まで受け継がれるのですが、この犬はWiston Cap の血統書に少なくとも16回登場するのです。Wiston Cap はこのレッドの遺伝子を多くの子孫に伝えました。現在のBCたちは、Wiston Cap を背景に持つ個体が非常に多く、レッド遺伝子'e'を受け継ぐ可能性が非常に高かったわけです。可能性は、両親犬それぞれから受け継ぐことを考えると2倍になるので、レッドの犬たちが増えたのです。

しかし、多くのシンプルな遺伝的特色に比べ、よい(もしくは悪い)ヒップは1対の組み合わせからは生じない複雑な特色です。’レッド’のように1対のペアから生じるなら次世代に伝わる組み合わせを予測するのはもっと簡単でした。我々は統計的にレッドの子犬が出る確率をほぼ正確に予測できますが、股関節形成異常の場合は、両親犬をX線検査にかけてすら、子犬に現われる確率は予測できません。

ヒップの場合と同様に、本能と行動特性は多くの遺伝子によって左右されます。あるものは’e’のような劣性であり、’E’のような優性であるかもしれませんが、問題はこれを識別する方法が存在しないことで、その数量すら予測がつかないのです。ある特色が、ある両親犬の交配で生まれた子犬とその子孫すべてに現われたなら、ここから識別調査を始めることができるのですが、今のところ具体的な資料はなく、ゆえにハーディング本能と能力は未だメインテーマであり、その犬が仕事を成し遂げない限り判断がつきません。

スコットとフラーのスパニエルにおける研究により、[クラウチ]を決定する遺伝子が判明しました。[クラウチ]自体は2つのメジャーな遺伝子で決定し、[スタンド・立つ]に対し[クラウチ]が優性でした。沈黙の行動特性もまた、2つの遺伝子により決定し、[アクティブ]に対して劣性でした。[クラウチ]の全ては、4つの遺伝子の組み合わせの結果でした。しかし、4つの遺伝子(対立遺伝子2)には81種の異なる組み合わせが存在します!両親ともにこの4遺伝子がヘテロ結合体から生まれた子犬たちは、おそらく遺伝子の組み合わせにおいて「等しい」と言えるでしょう。

これはBCにおいてどのような意味を持つでしょうか? 想像してみて下さい。羊の背後で静かに[クラウチ]姿勢をとるシンプルな特色が4つの違う遺伝子から来ているなら、ハーディング行動・アイ・バランス・パワー・従順性 といったシープドッグを司る行動特性には、一体どうなるでしょう?もし一旦このコンビネーションが失われたら、正しい要素の組み合わせに再びめぐり合う確率は?

遺伝的行動特性の複雑さを知ってもそう驚きではないでしょうが、パフォーマンス犬種をパフォーマンスのみで繁殖を続けていくのが、基本中の基本の論議課題なのです。多くの遺伝子が関わるほど、それだけ沢山の違う組み合わせが発生し、分割・消失する可能性が高まります。

ハーディングに必要不可欠ではない外観を優先して繁殖されれば、長期に渡り素晴らしいパフォーマンス特性の組み合わせを求めて繁殖されてきたこの犬種の消滅は避けられないでしょう。

この犬種を形成する本能が極めて複雑なため、ベストな組み合わせを保存するなら、毎世代不断の選択交配が必要です。ほんの少々の油断は、理想的な遺伝子の組み合わせを持たない犬が増える結果となります。最高で真性のワーキング遺伝子 以外の用途を持ち込む繁殖は、この犬種に存在する素晴らしい使役本能を薄めます。

遺伝子の対立遺伝子は、おそらく2つ以上存在します(血液型B グループに属する牛の対立遺伝子は160)。予測対立遺伝子と遺伝子の数を増やせば、遺伝的組み合わせの数は突拍子もなく増加します。例えば上記の行動特性6つにこだわるだけでも、各々の遺伝子座が最小の2つであってすら遺伝子は12。予測対立遺伝子が2・3であってもです。

選択基準に、カラーや耳の付き方、体サイズやコート質、目の色、頭の形 etc。。。といった外見的要素の加重を増やせば、現在でも多大な努力でバランス調整を保っている遺伝子はどうなるのでしょう?遺伝子タイプの数は天文学的数字になるでしょう。Verne Grant 曰く、これらばらばらの遺伝子をスタンダードに適合する形で持ち合わせる個体 は、おそらく犬種全体で1頭以下 とのことです。我々がこだわる遺伝子の数はまだ少なく、外見的特徴に統一性が1つも無いBCのような犬種は非常に珍しいのです。

Go to Top

イン・ブリーディング

行動特性・外見ともにスタンダードに叶い、繁殖に使える個体が非常に少ない場合、イン・ブリードの増加は避けられないでしょう。さらには、その犬種に対立遺伝子ペアを固定させる唯一の方法が、イン・ブリードです。同ファミリーの犬は似た遺伝子を伝える傾向があるため、欲しい対立遺伝子を集中させるためには同属間の交配が近道なのです。しばしば使われることばですが、’集中’では不充分でしょう。同じ対立遺伝子を持つ遺伝子1対は、1つ以上できないため、それ以上の’集中’は不可能だからです。言い換えれば、犬種に「固定」するには、現存し判別している遺伝子ペアをより多く集めていくしかありません。一対の遺伝子から対立遺伝子を判別できる条件はホモ接合体で、このホモ接合体の増加こそイン・ブリードが抱える問題なのです。1胎の子犬に現われる特徴を予測する意味で価値あるものだとしても、ホモ接合体は危険に通じる作用をします。

PRAを例に挙げると、有害な さらには致死的な遺伝子の殆どが劣性で、その出現にはホモ接合体に現われるため、ホモ接合体の増加は個々の遺伝子ペア与えるダメージの増加となります。さらに複雑な生化学的理由により、ホモ接合体の平均増加は活気の衰えと過敏性に大きなストレスを与え、不健康な個体が生じます。遺伝学者の一般論では、種内における遺伝的多様性に賛同しています。パフォーマンスに加えて外見の特徴までをも固定すれば、この多様性は減少してしまいます。

Go to Top

ドリフト

ハーディ・ワインベルグの数学的法則によると、ランダム繁殖における対立遺伝子の出現頻度は普遍(一定状態?)に残ります。ここでの鍵は、’ランダム’繁殖の定義ですが、オス メス全ての個体に等しく交配チャンスがあり、全ての交配における生産力も等しい という意味です。この制約下でのバリエーションは、遺伝子と出現頻度と遺伝的特徴の数に変化を招きます。

バリエーションの1つが生存力で、もう1つは統計的サンプルサイズとしましょう。家畜の繁殖で最も大切なのは選択繁殖で、純血種の犬においても実際そうなっているために、 上記のようなランダム交配はあり得ないのです。重要な対立遺伝子の出現頻度を変えるのがブリーダーの意図であり、パフォーマンスに関する効果は、能力のあるオス1匹を多くのメスと交配させることにより、正しい歩みをしているようです。動物の繁殖においては、繁殖オスの比較的小さな好ましい断片が、すべての子孫に大きな能力となって伝わるのです。繁殖オスの選択は、犬種の将来を決定すると言っても過言ではないでしょう。血統書にWiston Cap, Gilchrist's Spot, Dryden Joe, Whitehope Nap, Welsh's Don, etc といった偉大なスタッド・ドッグの登場がポイントです。BCにおいては、これらの中心的犬がすべて偉大なハーディング・ドッグであり、彼らのオス親たちもまた然りです。

最近のレッド犬の増加は、Wiston Cap 人気の台頭とこの繁殖システムの直接の結果です。この増加は’遺伝的ドリフト’と呼ばれるもので、交配がランダムでないために、遺伝的形成に典型的な変化が起きました。PRA、コリーアイ、CHDやてんかんといった遺伝的欠点を持つ犬の存在は、一般的にこの種の選択から起きた結果と言えるでしょう。有名なスタッド・ドッグが、自身には出現しなくても、通常劣性の関連遺伝子のキャリアであれば、多くの次世代に伝えたために不具合のある子犬が生まれてしまいました。

外見的スタンダードに叶い、ショータイトルを獲得した有名スタッド・ドッグに、これが起きた場合を想像してみましょう。この犬が、偉大なるハーディングドッグとしての遺伝的形成を司る、非常に複雑な遺伝子の組み合わせを持っているか?持っていないか? 彼が犬種に与えた遺伝的功績は? 今でも外見のバリエーションの多様性に際立つこの犬種は、ショーリングでのタイトル獲得に向けての繁殖で使える個体が、ハーディング・ドッグにおいては僅かなことを意味します。少なくとも偉大なハーディング・ドッグの遺伝子が外観スタンダードの犠牲になるのは、耐えられないでしょう。

Go to Top

スタンダード

いま目にしているBCは、スタンダードがない犬種ではありません。そのスタンダードは、登録証や血統書がなくてもハーディング能力が基準に充分達していることが証明されれば、メリット・レジスターという形で登録できるという非常に特殊なものです。AKC等のブリードクラブがいかなる外見上のスタンダードを適用しようと、現在議論が交わされているBCのスタンダードとは同じものではありません。定義としては同じ犬種ではないと言わざるを得ないでしょう。

たとえ最初の登録が現存の犬であっても、次の世代の’ショー・ドッグ’は別の選択ルールで繁殖されるため、少なくとも理論上は別の犬種です。3年後にAKCが登録を限定し、オリジナル・ブリードの犬を繁殖犬として認めなくなった時、AKCの犬は何という名前で呼ばれていても、完璧に袂を分かちました。

このようなことは、過去に少なくとも一度、’ラッシー’コリーが作られた時に起きました。’コリー’と呼ばれていたワーキング・シープドッグたちは、ショー犬の台頭と共に’ボーダー・コリー’と分けて呼ばれるようになったのです。分離の時期には真の違いはなかったのに、今では誰でもこの2犬種を分けて呼びます。

この過程で、牧羊仕事で必要なことだけに置かれていたスタンダードと一致しない選択基準を設けたために完全に分離しました。文章化されたスタンダードや、仕事に必要な体の知識のないジャッジの好みや流行だったのでしょう。すでに他の犬種にも起きています。(ラブラドールレトリバーは、フィールド系のものより脚が短すぎ、重くなりましたし、ショーで勝つ傾向のあるシベリアンハスキーは、脚が短すぎ、ふわふわのコートでは雪や氷をはねつけられません。祖先とは似ても似つかぬベアデッドコリーのコートは視界を曇らせ、草の実や泥を集めてしまうだけ)リクエストを受けてUSBCCはブリードクラブとなり、実用的でない特徴が用いられることから発生する問題を排除するためのスタンダードを設けましたが、遺憾ながら’間違った’スタンダードを作り出し、さらに状況が悪化しました。それがディテイルでなく見かけの身体的特徴だったためで、危険なことになりました。現在提唱されているスタンダードは、我々の犬の多くをカバーするほど柔軟なものですが、許容範囲が広そうに見えても、実際のところ外観のスタンダードがもたらした問題は上記の通りです。

さらに両親犬と外観が似ている犬は、両親犬のような働きぶりを示すという一般論がありますが、事実は必ずしもそんなに単純ではありません。父犬の遺伝子の再結合で生まれた子犬は、完璧に違うラインから生まれた子犬よりも父に似た特徴を持つ傾向があるというだけです。ショー・スタンダードに、直近のシュープリーム・チャンピオンの外見的特徴を微細に 渡って付け加えても、もはやワーキング能力を保証するものではなく、他のコンフォメーション・スタンダード犬種とそう違いはありません。チャンピオンのように働く子犬を選んでいかなければ、沢山の可能性がある組み合わせの中から正しい遺伝的調合を選んでいることにはなりません。

Go to Top

犬種とは?

USBCC Spring Newsletter: にて明言されたことによると

’遺伝学者にとっての犬種とはシンプルに、繁殖がコントロールされアウトクロスが制限されている動物の集合体で、よって遺伝的選択はそこが課題になる。集合体は「犬族」全体における副グループである。コントロールされた繁殖と限定されたアウトクロスは、選択を可能にする・・・遺伝的特徴は何であれ、組織的な繁殖家が決定する。「組織的な」繁殖家は定義の制度に大きな役割を果たす。一人の繁殖家では実際に犬種を創造するほどの犬を生み出せず、あまたの繁殖家がそれぞれの方向性を持っていては目指す選択は決してできないだろう。’

現在BCを繁殖し、選択繁殖を行う組織はここにも海外にも幾つか存在します。お互いに交流し、繁殖ゴールが合致するなら、犬たちは自由に登録先を移動できますしひとつの遺伝的集合体として実際的なものになるでしょう。AKCが現存のBCから派生した犬に基づくブリード・ブックを閉じた時、彼らは新しい選択ルールを適用して遺伝的集合体を分けました。どこにオリジナルをおき、どこにスタンダードをおいても(それがパフォーマンス・スタンダードであっても!)、オリジナルの登録を続けている犬種と差異が発生するのは免れません。それはもはや、BCではないでしょう。

ひとつの種の動物から別のラインを作り、繁殖を孤立させれば、2つの違う’遺伝子プール’になるのは避けられず、よって違う種となります。自然繁殖では、進化論に法り違う種の形成の第一歩であり、人工繁殖では、違う犬種の形成の第一歩です。パフォーマンスにおいて非常に近いスタンダードを持つ個体が、遺伝的に分割された2つの違う集合体から生まれたとしても、それはシンプルにドリフト −数匹のスタッド雄が沢山の子犬を生み出した結果でしょう。AKCがスタッド・ブックを限定し、オリジナルの登録BCのエントリーを締め出す理由はどこにもありませんでした。これは違う遺伝的集合体(別の犬種)の創設です。

Go to Top